入会のおすすめ
日本歴史言語学会は新しい、権威主義とは無縁の、開かれた学会です。専門の研究者、その志望者はもちろんのこと、何語であれ、どんな方法であれ、言語の歴史的研究に関心を持つあらゆる方の入会と参画を歓迎しています。
一口に言語の研究と言っても、ご承知の通り、その内容は 千差万別です。何らかの限定された言語を、限定された方法で、その道の専門家だけが研究するのも無論意味あることでしょう。しかし、そんなタコツボ的なア プローチだけでは進歩が望めないこともあります。特に、言語の歴史や文証以前の言語を研究する場合には、直接的ないしそれに近い資料が限られるため、視野 拡大の必要性は極めて大きいと言えます。様々な言語の事情、様々な方法、文学や歴史学、考古学、宗教学、文化人類学をはじめとする隣接諸分野の研究成果、 あるいはまた専門家以外の方の斬新な提案に触れることによって、タコツボの中では見えなかったことが見えてくるかもしれません。
どうぞ積極的に入会いただきまして、同学の方々との輪を広げ、ともに切磋琢磨し、また見識を広めて、日本の歴史言語学を元気にしようではありませんか!
日本歴史言語学会」設立のお知らせ(抄)
(設立趣意書)
皆様にはご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、ご承知のとおり、言語学は言語の歴史的研究にはじまります。文献学の伝統を受け継ぎつつ、19 世紀のヨーロッパにおいて各言語の歴史的研究と印欧語比較言語学が飛躍的な発展を遂げ、その片鱗が上田萬年(1867-1937)によって日本に齎されると、辻直四郎(1899-1979)、泉井久之助(1905-1983)、高津春繁(1908-1973)他によってその成果が咀嚼・紹介されました。さらには、その応用から新村 出(1876-1967)、橋本進吉(1882-1945)、有坂秀世(1908-1952)等によって本格的な日本語史研究が開始され、他方では藤岡勝二(1872-1935)、服部四郎(1908-1996)によってアルタイ諸語の、また泉井によってオーストロネシア諸語のそれぞれ歴史的研究の端緒が築かれました。
学統は受け継がれ、海外の学界で活躍する歴史言語学者も輩出されるに至っていますが、その反面、近年において日本国内における歴史言語学の認知度と言語学に占めるその比重は低下の一途を辿り、その裾野は狭まる一方であります。今こそ、既存の学会や研究機関の枠、扱う言語の枠、文献研究、比較研究等の方法論の枠を超え、さらには文学、歴史学、考古学、神話学、宗教学、文化人類学等とも連携を図りつつ、わが国における歴史言語学と隣接諸分野の振興と普及、ならびに研究者相互の交流と切磋琢磨を行う母体の構築が必要だと言えましょう。ここに日本歴史言語学会(Japan Society for Historical Linguistics)の設立を発起する所以であります。
該当分野の専門研究者のみならず、同分野を志望する大学院生、また同分野に関心をお持ちのあらゆる方々に、設立の趣旨にご賛同いただき、ご入会とご協力をいただきますよう切にお願いする次第であります。
2011年2月吉日
●発起人
アーウィン・マーク(Irwin Mark) | 飯嶋一泰*1 | 石井正人 | 板橋義三 | ||
井上幸和 | 入江浩司 | 上野誠治 | 江藤裕之 | 大門正幸 | 大城光正 |
大森裕實 | 岡島昭浩 | 岡本崇男 | 織田哲司 | 風間喜代三 | 片見彰夫 |
上岡弘二 | 神山孝夫 | 菊澤律子 | 北岡千夏 | 金水 敏 | 工藤康弘 |
黒澤直俊 | 黒田 享 | 児玉茂昭 | 後藤敏文 | 堺 和男 | 櫻井映子 |
櫻井 健 | 嶋崎 啓 | 清水育男 | 清水 誠 | 下宮忠雄 | 菅原和竹 |
鈴木誠一 | 鈴村直樹 | 高田博行 | 田中俊也 | 田村建一 | 千種眞一 |
柘植洋一 | 堂山英次郎 | 中村幸一 | ナロック・ハイコ(Narrog Heiko) | ||
西村秀夫 | 野田恵剛 | 野町素己 | 服部文昭 | 藤井文男 | 堀井令以知*2 |
本城二郎 | 町田 健 | 松本克己 | 森田信也 | 山口 巖 | 山部順治 |
山本伸也 | 山本文明 | 吉岡治郎 | 吉田 豊 | (五十音順) |
*1 2011年11月22日、食道癌のためお亡くなりになりました。享年56。『歴史言語学』第1号(2012)に訃報掲載。
*2 2013年3月10日午前10時5分、肺炎のためお亡くなりになりました。享年87。『歴史言語学』第2号(2013)に訃報とご遺作『言語文化の深層をたずねて』の書評掲載。